一般社団法人 日本川崎病学会とは:Our Culture

本学会は故川崎富作博士によって発見された川崎病(Kawasaki disease)を対象とする学会で、一疾患を対象に多領域の臨床医、研究者が集う特徴ある学会です。
故川崎富作先生(2020年6月ご逝去)が、川崎病を報告された1967年から55年(2022年現在)が経過しました。前身の日本川崎病研究会の第1回が1981年、世界の川崎病研究者が会する国際川崎病シンポジウムの第1回が1983年に開催されました。2009年に日本川崎病研究会から学会(任意団体)に移行し、2021年には、年1回開催される本会は第41回、2-3年毎に開催される国際川崎病シンポジウムは第13回(日本が担当)が開催されました。2021年12月1日をもって、これまでの任意団体から一般社団法人日本川崎病学会に移行しました。
本学会は、その対象疾患が本邦で発見され、その症例数、高い認知度に基づく急性期診療、成人期に及ぶ長期フォローの経験とそれらに基づく研究実績から国際的に独自性のある学会と考えます。本症の原因は未だ不明であり、本学会の最も大きな課題です。その為に、感染免疫学・遺伝学・血管生物学・病理学・疫学、診断と治療に関わる臨床、社会経済的・Biopsychosocialな課題、冠後遺症のライフステージに応じた医療(生涯医療)の研究者、医療者が研究を進めています。
2020年以降、日本及び世界で問題となっている新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)の流行以降に、川崎病の病名が社会的にも見聞きする機会も多いかと思います。2020年に最初に欧米から報告された川崎病類縁疾患であるCOVID-19関連多系統炎症性症候群(MIS-C)が話題となったからです。日本でも少ないながら報告され、医療上の課題となっています。類縁疾患の臨床と機序を深く知ることは、同時に川崎病の診療と研究にも繋がる可能性があり、本学会にとっても新たな課題です。また、川崎病全国調査から、2020年に川崎病の発症率が激減したことが明らかとなりました。国レベルの感染症対策の影響と推察され、本症の研究に新たな切り口を提供するものです。また、対面での会員の面談は減少しましたが、オンラインないし交流サイトでの研究者の交流の機会は増え、特に国際化な繋がりの強い本学会で、これまでと異なる人材交流が進むものと考えます。さらに、最近の成育基本法、脳卒中循環器病対策基本法の成立があり、学会への社会貢献が期待されています。学会による医療者への情報発信、人材育成に加えて、一般市民の方への普及啓発、患者・家族との交流、関連した学会、地方の研究会との連携も今後重要になると思われます。本学会の学術活動を通じた社会貢献が、最終的に研究活動の発展に繋がればと思われます。