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・ 一般的な疾患説明などのQ&A

コロナワクチンと川崎病既往についてのQ&A

・川崎病にかかったことのある方の新型コロナウイルスワクチン接種について Q&A 第1報(2021年8月14日現在)

Q1. 川崎病にかかったことで他の人と何か違って注意すべきことがありますか?
A1. 川崎病にかかったことがある人では新型コロナウイルス感染症が重症化することや、新型コロナウイルスワクチン接種の副作用がでやすいなど、特別な注意が必要であるとの臨床のデータも実験的なデータもありません。
冠動脈後遺症のない人は一般の方と同じ、冠動脈後遺症のある方は基礎疾患のある方として対応します。

Q2. ワクチン接種はなぜ必要でしょうか
A2. ウイルスの成分の一部またはウイルスタンパクを作るもとになる情報の一部を筋肉内に注射してそれに対する免疫を作らせることで、実際のウイルスが体内に入ってきた時に、免疫(抵抗力)が働いてかからないようにするまたはかかっても軽くすむと考えられています。
現在、ワクチン接種率が高い地域では患者数が減少していること、また、日本でもワクチン接種がすすんでいる高齢者の患者数が減少しており、その効果は明らかです。

Q3. ワクチン接種の副作用が心配ですが、大丈夫でしょうか
A3. 新型コロナウイルスワクチンの副反応と対応については厚生労働省ホームページ日本小児科学会ホームページに詳細に記載され随時更新されています。
年齢が若い人ほど発熱などの副反応の頻度が高く、2回目の接種1~2日後に多いが解熱鎮痛剤の投与でほとんどが軽快すると報告されています。
若い男性でワクチン接種後の心筋炎・心膜炎の副反応が報告されましたが、10万件に1件くらいの稀で、多くは軽症で回復しています。新型コロナウイルス感染そのものでもおこる急性心筋炎と急性心膜炎の発症率(概ね50例に1例程度)に比較して極めて低いと報告されており、ワクチン接種の副作用よりワクチンをしないでかかる方のリスクがより高いと考えられています。接種後数日以内に、胸痛、動悸、息切れなどが出現した場合は、医療機関への受診が望まれます。
このことについては日本循環器学会ホームページ厚生労働省ホームページをご参照ください。また、今後の調査で更新される可能性もありますので、新しい情報にも注意ください。

Q4. 飲んでいる薬によって効果や副作用に対する影響がでますか
A4. 川崎病で後遺症がある場合に内服している一般的な抗血小板薬や抗凝固薬ではワクチンの効果に差はありません。主な副作用についても同様です。
ただし、ワーファリンなどの抗凝固薬では出血すると止まりにくいことがあるので、筋肉内注射後は2分間以上接種部位をしっかり押さえる必要があります。また、その後に、腕が腫れる・しびれるなどの症状がでた場合には担当医に速やかにご相談ください。

Q5. ワクチンをうけなかった場合はどうなるのでしょうか
A5. 従来、若い人が新型コロナウイルス感染症にかかっても無症状か軽症ですむといわれてきましたが、後遺症や稀に重症化する場合もあります。また、最近はデルタ株などの変異型が従来型により多くみられ、若い世代や子どもへの感染が広がっています。
新型コロナウイルスワクチンに関する国内外の数万人のデータから、発症予防や重症化をふせぐ効果などワクチン接種のメリットが副反応などのデメリットよりも大きいと報告されています。
新型コロナウイルス感染症の流行がおさまるためには、多くの人が病気に罹るかまたはワクチン接種によって集団免疫ができる必要があると考えられています。

Q6. 冠動脈後遺症がある場合はワクチンをしたほうがよいでしょうか
A6. 川崎病冠動脈後遺症がある方のワクチン接種については、「基礎疾患がある人」として優先接種のケースになります。
一般的に、「基礎疾患がある人」では、基礎疾患の治療が必要な時に新型コロナウイルス感染症にかかってしまうと、通常の診療ができずに、その治療や検査が遅れたりすることが問題となるので優先的接種が認められています。
実際には、新型コロナウイルス感染症の症状として、心筋炎、心膜炎、血栓症、肺病変がみられる場合があります。その際には、冠動脈後遺症をもっている人では、心臓に負担のかかることへの心配があります。
本人の状況をよく把握している担当医と本人、子どもの場合はその養育者が、ワクチン接種のメリットとデメリットや体調管理などを事前によく相談してから判断することが必要です。

・川崎病にかかったことのある方の新型コロナウイルスワクチン接種について Q&A 第2報(2022年2月21日現在)

Q1. 最近、川崎病にかかって免疫グロブリン療法などの治療を受けました。いつから、新型コロナワクチンを接種できるでしょうか。
A1. 川崎病にかかったあと、いつワクチンを接種できるかという科学的根拠のあるデータはありません。
生ワクチンではないので川崎病が完全に回復したあとであればワクチン接種は可能と考えられています。

Q2. 大量免疫グロブリン治療を受けた影響はありませんか。
A2. 通常の予防接種では、生ワクチンは6か月以上あけて接種することが推奨されていますが、新型コロナワクチンは生ワクチンではないので影響受けないと考えられています。新型コロナウイルス感染流行中のアメリカでは、小児の重症な疾患である多系統炎症性症候群もワクチンによって発症を予防できることが証明されており、受けられる状態になったら、早く接種するように勧められています。
参考: 公益社団法人 日本小児科学会

・参考資料

日本小児科学会「5〜11歳小児への新型コロナワクチン接種に対する考え方」 Link >
日本小児科学会「新型コロナウイルスワクチン接種に関する、小児の基礎疾患の考え方および接種にあたり考慮すべき小児の基礎疾患等」 Link >
日本小児循環器学会「5〜11歳の小児への新型コロナウイルスワクチン接種に対する考え方」 Link >