慶應義塾大学病院で初期研修を始めた35年前、教授回診で川崎病の病名を出すと怒られたものです。大学からも同様の症例の報告があり、疾患の独立性を巡って論争があったのでしょう。日本小児科学会東京都地方会で、東京大学の教授から病気の存在を否定されたという話は、川崎先生がよく記されています。
一介の若手医師 vs. 学会の頂点に立つ教授という構図は、いま話題の「半沢直樹」のようです。川崎病の重要性を広めるため一般向けに書いた「川崎病-増え続ける謎の小児疾患」(弘文堂)では、発見のくだりを池井戸潤先生の小説風にしました。
川崎先生の反骨精神の格好良さが、少しでも伝わっていれば幸いです。